第三笑



作品タイトル
 モウ彼ハ、コノ世ニイナ〜イ!!



プチマッスル体験談            


週末はよく中学からの腐れ縁で飲みの誘いの電話が頻繁に掛かってきていました。

今日もいつものごとく友達  から飲みの電話の誘いです。

「あした飲み行くゼ!」

いつも5、6人でつるんでいたので、また夜遅くまで飲み会かぁ〜たまにはのんびりさせろよ〜

と思いつつも結局、暇人で酒好きだった私は

「ああ いいよ!」 と答えました。

「明日、重大な話があるから絶対来いよ!」

いつもと違った  の様子に私は、何があったんだ?何かあったのかなぁ?と問いただすが

  は暗い口調で「明日な・・・」と言って、プツン・・と電話を切ってしまいました。

重大な話って何なんだ?と心配になった私は、 にリダイヤルで掛け直すが

一向に電話に出てくれません。心配はつのるばかりで、

今度は明日飲み会に来るであろう友達  に電話してみました。

「あ、M?さっき K から電話あったんだけど飲み会の話聞いてるよね? K 何かあったの?」

と私は聞きました。

「おまえ・・・かなりやばいよ・・・」

の返ってきた冷たい返答に私は驚きのあまり「なに」を連発しました。

「何、何、何、何〜〜!何があったの〜!?」

「俺、何か K に悪いことしちゃったのかなぁ?」と私。

はさらに追い討ちをかけるかのごとく

「おまえ自身の問題だから・・・じゃあ明日な。」・・・プツン。と返答する間もなく切られました。

私にとっては一世一代の大ピンチ!いくら腐れ縁だとはいえ10数年以上の長い付き合い。

喧嘩したり、励ましあったり、酔いつぶれたりした仲です。それが訳も分からぬ原因で友人を傷つけて

しまい、友情もこれまでか・・・と思いました。でも何度考えても、心当たりがありません。

まてよ。「おまえ自身の問題だから」って言っていたよな!?ということは

借りたエロビデオ返してなかった事、怒ってるのかなぁ?

気が動転して訳の分からぬことを考えながら結局その夜は眠れぬ一夜を明かしてしまいました。

次の日、集合時間にの家に行きました。

すごーく昨日の電話が気になっているんだけど、何事もないようにふるまって

行き付けの焼き鳥屋に向かいます。

「ようーM! K はまだ来てないの?」と、私が、さりげなく聞くと 

「Kはショックで寝込んでいるから遅れてくるって」

とまたまた意味深な言葉。私はたまらず

「何があったの?」をまた連発してしまいました。でもは黙ったままです。しばらくして焼き鳥屋に

着き、 も、しばらくして、のれんをくぐって入ってきました。

一瞬の沈黙のあと  が話を切り出しました。

「おとといさ、駅の前歩いていたら、普段見かけない、

みょうな外国人の占い師に会ってさ〜俺を見るなり、泣きついてきたんだ・・・」

は身長195cm体重100sのプロレスラー並みの体系でヒゲ面なので知らない人が見たら

怖くって近づかないのが普通だが、その  に泣きついて来るとは・・・その占い師から、

そうとう深刻な助言があったんだ。と息を呑みながら話の続きを聞く。

「それでさー、俺に向かってカタコトの日本語で涙を流しながらこう言うんだよ

 モウイナイ! モウ彼ハ、コノ世ニイナ〜イ! って・・」

なにかそうとう嫌な予感がする・・・・と直感する私。さらに K は話を続ける

そんなインチキ臭い占いなんか興味ないから無視して振り払うと、占い師はさらにこう言ったんだ。

「 YOU の フレンズ・・・イニシャル H,T オトコ!もうこの世にいな〜い!と・・・

私はその言葉をきいて頭の中が真っ白になりました!

そうです。そのイニシャルはだったのです!

  は一瞬考えたが、そのイニシャルが私である事に気付き、占い師に向かって

「おまえいい加減なこと言うなよ!」と怒鳴ったそうだが

負けじとその占い師はこう言ったそうだ。

「新宿にあるダンスクラブの地下に JOE DANCER という私の師匠

が占いをやっている・・・その師匠に除霊してもらわない限り・・・

助かる方法がない!カワイソウ・・・・

 と は昔から悪ふざけが好きだからまたいつものことだな と疑ったが、今日はそうではなかった。

それを聞いていた焼き鳥屋のマスターも
追い討ちをかけるかのようにこう言うからだ。

「そういえば先週もお客さんが話していたなぁー?よく当たる占い師がこの町に来ているって」

その言葉を聞いたとき、私はその場に泡を吹いて倒れそうになった。

(あいつらならまだしも、あかの他人の焼き鳥屋のマスターまでもが声をそろえて言うとは・・・

この話ってもしかして本当・・・・・げげげ!)

なんで俺なんだよ〜!!

と、私は何度も心の中でつぶやき、私以外のイニシャルが H,T の人物を必死に

探しまくって考えていた。

しかしいくら考えてもイニシャル H,T の知り合いの人物は私以外思い当たらない。

誰か助けてくれー!と口に出しては言わなかったが喉元まで来ていました。

私はかなり落ち込んで、これからの短い人生について考えてました。

(明日は有休とって新宿の JOE DANCER  という人物に会いに行くしかないな・・ちくしょう!!)

と小声でしゃべりながら、半べそかきそうになって覚悟を決めていたところ

小声に気付いた  は「誰に会いに行くって?」と、にやけて私に聞いてくる。

「ジョーダンサーって言うインチキやろうだよ!うるせーなー!」

友達が一斉に笑い出す。  も追い討ちをかけるように「え!誰、誰!」私はやけになって

「ジョーダンサー!!」と大声で叫んだ!

またまた一斉に大爆笑!焼き鳥屋のマスターも笑ってます。人の不幸を笑うなんて最低な店だな!と

思いつつ、私はまだ気づいていません。 と  は

「御愁傷様です」

と声をそろえて言うが、私はそんな冗談聞いているどころじゃありません

店のお客さん達も、そば耳を立てて聞いていたらしく大笑いが巻き起こる。

そこでやっと私は気が付いた。

この話って冗談さー!っていうことを!

「ちくしょう!おまえら〜」

と私はホッとして「今日は朝まで付き合わすゾ〜!!」と、ばかりに大量の酒を注文し、

その日は朝まで腐れ縁仲間と飲み明かし、連れまわす事に決めました。

焼き鳥屋のマスターから聞いたんですが、

先週は K が先々週は M が この焼き鳥屋で別の友達に 

JOE DANCER ネタにだまされて

「なんで俺なんだよ〜!」

と泣きそうな声をあげていたそうです。

プロレスラー並の体系でヒゲ面の  が先週ネタばらしされないままショックのあまり途中で

帰っちゃったらしく、一週間近く 寝込んでいた

 というのも本当らしく、今想像すると悪いけど笑いがこみあげて来てしまいます。

次のターゲットはあなたかもしれない!!

モウ彼ハ、コノ世ニイナ〜イ!!

この言葉を飲み屋で聞いたら耳をすませて聞いてみたらどうでしょう?



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