いたずら好きの私達は、よく近くにあるファミリーレストランに寄ることがありました。
今から考えるとあのころは若かったなぁと思うのは年をとったせいなのでしょうか?
ドライブの帰りはそのファミレスで何を語るでもなく時間をつぶす事がよくありました。
ある日のことです。いつものようにファミレスに行くとおばさん連中と
背の高い、のほほ〜んとしたカップルが順番待ちしていました。
「いらっしゃいませ」
といつもアルバイトの子が明るい笑顔で迎えてくれます。
「お客様5名ですね?ちょっとお時間掛かるのでこちら
にお名前書いてください」
とマニュアルどうりにバイトのウエートレスがボールペンを渡します。いたずら好きの
K君にボールペンを渡したのが運のつき!
ちゃんとした名前を書くわけがありません!
「名前何にしようか?」と考えていると早速いたずらの開始です。
順番待ちしているおばさん連中の世間話がうるさかったので
「ちっ!うるさいおばさん連中だなぁ!」
と小声でいいながら順番表のおばさん連中であろう名前の先頭の文字に
漢字の「大」
と言う字を付け加えてます。ちょうど席が空いたらしくウエートレスが
次のお客様を呼びに来ました。
K君はとりあえず友達の一人のあだなを書くと入り口の空いている
待合席に座ります。
おばさん達は世間話で盛り上がっています。
「お客様お待ちの 大山田様 どうぞ!」
とウエートレスが呼びます。おば様たちは自分たちの会話で盛り上がっていて名前の
先頭に「大」と言う文字がついた事も聞き取れずにすんなりと
ウエートレスの案内にしたがって席に案内されました。
「ちぇ!面白くないなぁ〜」とK君。
ふと友達Mが自分のあだなが書かれていることに気がつき二本線を引いて書き直し
ています。おまけに何やらいたずらしてくすくす笑いながら戻ってきます。
絶対なんかやらかしたなと思ったN君が見に行くと今度はN君の
名前が書かれていることに付け加え、順番待ちをしているお客様の
「おおば」という
ひらがなで名前が書かれた中ほどにもう一つ「お」と付け加えてました。
「おおおば様」
(大おば様?婆さんに名前が変わってる!)
N君は「ぷっ!」と軽くふきだし自分の名前をボールペンで黒く塗りつぶし
さらにちょこっといたずらして戻ってきます。
気になったB君は見に行くと、さらに細工されて
「おおおばば様」
となっていました。
(大おばば様?でっかい 糞に変わってる!!)
B君はゲラゲラ笑いながら戻ってきます。
まさかなぁ〜と思いつつも私も自分の名前にすりかえてないか確かめに行くと
案の定B君の名前から私の苗字へと書き換えられていました。さらに
「おおおばば様」は進化して
「ジャイアントおおおばば様」
となっておりました!
私もそれを見た瞬間思いっきりふきだしてしまいました!
いくら のほほ〜んとした背の高いカップルだとはいえ
ジャイアント馬場を文字って
ジャイアントおおおばば様!
これはまずいだろう!
と思った私は、いたずらされた「おおば」様の文字を書き直し
私の名前を一本線で消して下に新たにK君の苗字を書き加えてきました。
「もういたずらしちゃダメだよ!」
と言いながら私は待合席につきます。
私は車の中に時計を置いてきてしまったことに気がつき、車に取りにいきます。
やつらの暴走を止めに入るのはいつも私の役だったので
「あいつらいたずらしてなければいいけどなぁ」
と思いながらもスタスタと取りに行きます。車に鍵がかかっていて開きません。
「そうか〜今日は俺の車じゃなかったんだぁ」とあきらめてファミレスに戻ると、
お客で来ていたジャイアントおおおばば様は席が開いたらしく、
もう店の中へ案内されて、入り口にいるのは私たち5人だけとなっていました。
ひと安心して待合席に座るとしばらくして、席が空いたので私たちを
呼びに来たのでしょう。ウエートレスがこっちに向かって歩いてきました。
お客様お待ちの うえ様 お席が空きましたので・・・
私は思わずふきだしてしまいました!
浪人生の集まりなのにうえ様とはおそれおおい!まるで殿様です!
それどころかちょんまげはしていません
他のみんなも同じ事を思ったらしくくすくす笑っていました。
その光景を見たウエートレスは やだ間違えちゃった!というようなしぐさをとり
改めて言い直します。
お客様お待ちの かみさま
ウエートレスも自分で言いながら仕事を忘れて、思いっきりふきだしてます!
うえ様の次は神様とは!
いたずら好きの仲間たちは大爆笑!
私は一体何が起きているんだ?と呆然とするばかり・・・・
ウエートレスは笑いながら私に問いかけてきます
・・・これ何て読むんですか?
たまらず私は順番待ちの表を見ると
「上」と書いてあります。
かみ?じょう?うえ?なんだろうなぁ?と考えたけど
だてに長年つきそっている腐れ縁仲間ではありません。
一瞬にしてK君のしわざだと悟りました。
K君は自分の苗字を書いてあるのを消して上に書いてある私の名前を
呼ばそうとしていたのです。
「ああ、これ上の名前呼んでくれってことだよ」
と、私はウエートレスに答えました。
あまりにも冷静な私の言葉にみんなはさらに爆笑していました。
H様?
はい私です
まるでいたずら書きをしたのはすべて私です。とでも答えて怒られているみたいで
その光景を見ていた腐れ仲間は一斉に大爆笑!
暴走を止めにかかった唯一の私だけ、いたずら書きの犯人扱いされるなんて〜〜
とてもはずかしい思いをしました!
それ以来、私達はそのお店では要注意人物としてマークされてしまった
ことは言うまでもありません。いたずらはほどほどにしましょうね!
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