第十一笑



作品タイトル
 止めてくれ〜



プチマッスル体験談             


その日は夏休みに会って以来久々の彼女とのデートでした

車も一気にドレスアップしたことだし、彼女びっくりするだろうなぁ〜

待ち合わせの時間10時半までまだあるし、自慢のマイカーでも軽く磨いてそれから

待ち合わせ場所まで行こうかと、洗車場に向かいました。



「わー混んでるなぁ〜」


とりあえず水洗い洗車はやめて、お手軽の‘フクぴか’でフキフキしようかと

あいている所に車を止め、エンジンを切り、トランクに入れてあった‘フクぴか’を取り出そうと

背面に回り、トランクのドアをあけました。


「ピュ〜!!・・ピュ〜!!・・ピュ〜!!・・ピュ〜!!・・」


手元のキーと共に付けてある防犯のリモコンが鳴り出した!


「おおっ!危ない危ない。キーを外したら自動的に防犯セキュリティーが

作動する設定にしてたんだ」



サイレントモードだったので車自体に付いている大音量90デシベルのサイレンは鳴らず

異常感知を電波で発信され受信を受けた、リモコンキーの方が反応したのだった。

リモコンキーのボタンを車側に付いているセンサーユニットに向かって5秒ぐらい押すと

サイレンが止まると説明書に書いてあったのでリモコンのボタンを押し続ける・・・。

リモコンのサイレン音は止まったのだが、センサー自体の青色のLEDの光が止まらず

何度も何度もリモコンのボタンを押し続ける・・・・・。



「あれ?おかしいなぁ?買って早々リモコンの電池が切れちゃったのかなぁ?

まだ時間があるし100円ショップでボタン電池買ってくるかぁ」



‘フクぴか’ で軽く外周のボディをフキフキし、10時開店と同時に100円ショップに行き

待ち合わせの10時半に遅刻しないようにリモコンの電池を交換。

リモコンのボタンを押すが「ピッ!」とも「スン!」とも言わず説明書を読み返しました。



あまり押し続けるとリモコンの電源が落ちます。・・・・・・・・(汗)



再度リモコンを長々と押し続けると電源が入り「ピッ!」と鳴りました。

チッ!無駄な時間を費やしちまったなぁ〜 もういちど操作方法を確認してみるか



センサーユニットのモードボタンを

1回押すと「ピッ!」と鳴り「自動警戒モードONと警戒音ON」

2回押すと「ピッ!ピッ!」と鳴り「自動警戒モードONと警戒音OFF、サイレントモード」

3回押すと「ピーッ!ピッ!」と鳴り「自動警戒モードOFFと警戒音OFF」完全OFF状態

4回押すと「ピーッ!ピッ!ピッ!」と鳴り「自動警戒モードOFFと警戒音OFF、サイレントモード」

あとはモードボタンを押すごとに1〜4の繰り返しか・・・。モードボタンを実際に押し

なるほどなぁ〜と感心していると彼女から「もうすぐ駅につくよ〜」とメールが・・・。

急いで待ち合わせ場所へ移動・・。






何事もなく楽しい一日が過ぎ、一夜を明かし 次の日になりました。






その日も映画を見に行くと予定していたのですが、待ち時間が長くなってしまうので

チケットを買い、時間つぶしに、ちまたで噂のアイスクリーム屋に行くことになりました。


アイスクリーム屋に到着。入口近くの駐車場にはすでに7,8台の車が駐車してあり

家族連れやらカップルやらがおいしそうにジェラートを食べていました。


「今日は何食べようか?」 「マンゴーとかピーチが食べたいな〜」

「俺はティラミスと黒ビール味のダブルいっちゃおうかな」

そんな話に花を咲かせ、お店に入店。私はお目当てのジェラートを買いました。

「わおぅ〜!いつ見てもおいしそうだ!・・・・・」

黒ビール味のジェラートというのは休日限定

ティラミスと黒ビール味の絶妙なコラボレーションに とろけるようなさっぱりとした甘さ

しぼりたての新鮮なミルクで作られたジェラートのしずくが

夏の暑い日ざしに照らされコーンにしたたってくる

「あ!そうだ!デジカメで写真とってブログのネタにしようっと!」

そう思いついたのが悲劇のはじまり・・・・・・。

ジェラートを片手にデジカメを取りに車に向かいました・・・。







助手席のドアを カチャ!



「ピュ〜〜〜!!・・ピュ〜〜〜!!・・ピュ〜〜
〜!!・・ピュ〜〜〜!!・・」



90デシベルの大音響に焦る私・・・・。

家族連れやらカップル一同にいっせいに注目をあびる!!!


「わわわわ!・・・」 必死にサイレンを止めようとリモコンのボタンをポチポチポチ!!


「止まらない・・・」



とりあえずドアを閉める。いくらかサイレン音が小さくなったが注目を浴び続ける!

リモコンのボタンをポチポチポチ!!

「止まらない・・・」


(いかん!このままだと車上荒らしだと誤解されてしまう・・・・)




「まぁ〜た 壊れたよ!!!」(私の車だと主張)

と必死に独り言で弁解・・・。効果なし・・・。注目は集まるばかり!


左手に持っていたジェラートは見る見るうちに溶け出しポタポタと流れだしてきて倒れそうでした

「あああっ!」と、かぶりつくように口元に運ぶも、サイレンを止めよう止めようと必死で

狙いがズレ、お子様みたいに口の周りが、べちょべちょ!!!



そんなこともお構いなしに、リモコンの角度が悪いんだなと、

口の周りをべちゃべちゃにしながらも冷静になり

車の右斜め後ろから・・・左斜め後ろから・・・ポチポチポチ!



「止まらない・・・(><)」



しまいにはボンネットに乗り上がりフロントガラス越しにリモコンを密着させてポチポチポチ!!

洗車したばかりのピカピカのボディーにしたたるジェラートのしずく・・・



そんな姿をあざ笑うかのように鳴り続ける警報音!!

「ピュ〜〜〜!!・・ピュ〜〜
〜!!・・ピュ〜〜〜!!・・ピ
ュ〜〜〜!!・・」




(誰か止めてくれ〜〜)と心の声





アイスをぽたぽた垂らしながら車の周りをぐるぐると3周ぐらい回って

ポチポチ、とボタンを押し続け、ようやくサイレンが止まるころにはアイスを食べ終わってました。





彼女がようやくマンゴーとミルクのダブルジェラートを持って お店の中から登場。



「あ!ティラミスジェラートもう食べちゃったの?おいしかった?」




・・・・・・

「うん! めちゃくちゃおいしかったよ!」


そんな会話を聞いていたギャラリーは、絶対 心の中で笑っていたに違いない・・・



(味なんかわかるもんかい (><)!!!)




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